コラム・ブログ

Colum

コラム・ブログ

2026年7月23日

往診と訪問診療の違い

# かかりつけ医
# 内科
# 往診・訪問診療

i
ハイライト(要約)

加齢や病気で通院が難しくなっても、医療とのつながりを絶やさない方法があります。それが「往診・訪問診療」です。往診と訪問診療の違いから、利用を検討したいタイミング、費用の目安、実際の利用開始までの流れまで、慶元クリニックの体制とあわせてわかりやすく解説します。

目次

「往診」と「訪問診療」の違いをご存じですか?

「体調が悪いのに、もう病院まで通うのがつらい」――ご本人やご家族から、そんな声を聞くことが増えてきました。そんなときに知っておきたいのが「往診」と「訪問診療」という2つの仕組みです。似た言葉ですが、実は少し意味が異なります。

往診とは

「今日、急に熱が出た」「動けなくなってしまった」など、突発的な体調の変化に対して、患者さんやご家族からの要請を受けて医師がそのつど自宅や施設に出向く診療のことです。いわば「臨時の外来」のようなイメージで、あらかじめ決まったスケジュールはありません。

訪問診療とは

あらかじめ計画を立て、「2週間に1回」「月に1回」など定期的に医師が自宅や施設を訪問し、体調の管理や薬の調整、必要な処置を継続的に行う診療のことです。通院が難しい方の「かかりつけ医」を、自宅に届けるようなイメージに近いものです。

どちらも「通院が困難な方」を対象としている点は共通していますが、突発的な対応が「往診」、計画的・継続的な管理が「訪問診療」と覚えておくとわかりやすいでしょう。実際の在宅医療の現場では、この二つを組み合わせて利用することも多く、普段は月1〜2回の訪問診療で体調を管理しながら、急な発熱や体調変化があったときには往診で対応する、というのが基本的な形になります。

こんなサインが出たら検討したいタイミング

「まだうちはそこまでではない」と感じる方も多いかもしれません。しかし、次のようなサインが見られたら、一度往診・訪問診療の利用を検討してみる価値があります。

こうしたサインは、ご本人よりもご家族が先に気づくことが少なくありません。特に、通院を先延ばしにする回数が増えてくると、本来であれば早期に対応できたはずの体調変化を見逃してしまうリスクが高まります。「最近、通院がつらそうだな」と感じた時点で、早めにかかりつけ医に相談しておくことが、無理のない医療継続につながります。

往診・訪問診療で実際にできること

「自宅でできることは限られているのでは」と思われがちですが、実際にはクリニックでの診療に近い内容の多くを自宅で受けることができます。

体調管理・慢性疾患の継続治療

高血圧、糖尿病、心不全、慢性腎臓病などの持病について、血圧・血糖・体重・むくみの有無などを確認しながら、お薬の調整や生活指導を継続的に行います。飲み合わせの見直しや、飲み忘れが多いお薬の整理といった、生活に密着したサポートも行います。

各種検査

聴診や血圧測定はもちろん、機器を持参しての採血、尿検査、心電図、簡易的な超音波検査なども自宅で実施できる場合があります。検査結果によっては、その場で今後の方針をご説明することも可能です。

処置・ケア

点滴、褥瘡(床ずれ)の処置、カテーテルの管理、注射、傷の処置など、通院しなくても対応可能な処置は少なくありません。

ご家族への説明・相談対応

今後の療養方針や、体調が急変した際の対応方法について、ご本人だけでなくご家族も交えて相談できるのも、往診・訪問診療の大きな利点です。「もしものときはどうすればいいか」をあらかじめ共有しておくことで、いざというときの不安を減らすことができます。

もちろん、精密検査や入院が必要な場合には、連携する医療機関へつなぐ判断も行います。「自宅で完結させる」のではなく、「自宅を起点に、必要な医療につなぐ」窓口としての役割を担っています。

費用や介護保険との関係について

「訪問診療は高額なのでは」と不安に思う方もいらっしゃいますが、往診・訪問診療は公的医療保険(後期高齢者医療制度や国民健康保険など)の対象となる診療です。通常の外来診療と同様に、年齢や所得に応じた自己負担割合(1〜3割)で受けることができます。

ただし、定期的な訪問診療には「在宅時医学総合管理料」など、外来診療にはない管理料が加算される仕組みがあり、通院時よりも自己負担額がやや高くなる場合があります。訪問回数や併用するサービスによって金額は変わるため、一概に「いくら」とお伝えすることは難しいのですが、多くの場合、月に数千円〜1万円台程度の自己負担で継続できるケースが中心です。

あわせて、介護保険の要介護認定を受けている方であれば、訪問看護やヘルパーなどの介護サービスと組み合わせることで、医療と生活支援の両面から無理なくサポートを受けられる体制を作ることも可能です。医療保険と介護保険では利用できるサービスの範囲が異なるため、ケアマネジャーとも連携しながら、無駄のない組み合わせを一緒に考えていきます。

実際の金額は疾患の内容や処置の有無によって変動するため、「まずは概算だけでも知りたい」という段階でも、遠慮なく相談していただければと思います。

慶元クリニックの往診・訪問診療の特徴

当院では、開院から30年以上にわたり地域のかかりつけ医として、この地域にお住まいの患者さんとご家族に寄り添った診療を続けてきました。院長は消化器外科・救急医療の現場で幅広い症例に対応してきた経験を持ち、自宅療養中に体調が急変した際にも、落ち着いて的確に対応できる体制を整えています。

往診・訪問診療は、曜日や時間について応相談で対応しており、「まずは一度、今の状態を診てほしい」という段階からのご相談も歓迎しています。通院中の方がご高齢のご家族の今後を心配されているケースや、退院後の在宅療養に不安を感じているケースなど、状況に応じた形での関わり方をご提案します。

また、当院はもともと通院での診療を続けてこられた患者さんが、加齢や病状の変化によって通院が難しくなった際に、そのまま同じ医師による訪問診療へ切り替えられることも大きな安心材料です。これまでの経過をよく知る医師が引き続き診てくれるという継続性は、ご本人にとってもご家族にとっても心強いものです。

「通院がつらくなってきたけれど、医療とのつながりは絶やしたくない」――そう感じたときが、往診・訪問診療について相談するタイミングです。ご本人おひとりで抱え込まず、まずはお気軽にご連絡ください。

「何から始めればいいのかわからない」という声もよく耳にしますが、流れは難しいものではありません。まずはお電話やご来院時に現在の症状や生活状況をお伺いし、実際にご自宅へ医師が伺って生活環境や持病の状態を確認したうえで、訪問頻度や併用したい介護サービスを相談しながら決めていきます。入院先の病院やケアマネジャーからのご相談・ご紹介でも構いません。

このように、通院の負担を減らしながらも「必要なときにはすぐ相談できる」という安心感を持って過ごしていただけるのが、往診・訪問診療という選択肢の大きな価値です。ご本人の生活の質を保ちながら、ご家族の負担も軽くする仕組みとして、ぜひ検討してみてください。

最後に

通院が難しくなってきたときの選択肢として、突発的な体調変化に対応する「往診」と、計画的に体調を管理する「訪問診療」があります。どちらも公的医療保険の対象で、慢性疾患の管理から検査、処置、ご家族への相談対応まで、通院に近い医療を自宅で受けることができます。「まだ早いかも」と迷う段階でも、通院がつらそうだと感じたときが相談のタイミングです。ご本人おひとりで抱え込まず、当院までお気軽にご相談ください。

参考文献

・厚生労働省「在宅医療の推進について」
・厚生労働省「訪問診療・往診について(診療報酬の算定に関する資料)」
・日本在宅医学会 在宅医療に関する各種資料

他のコラムはこちらから >



コラム・ブログ一覧へ

トップページへ