コラム・ブログ

Colum

コラム・ブログ

2026年10月12日

大人の気管支喘息は「発作がないとき」が大切。吸入薬を上手に続けて発作を防ぐためのポイント

# かかりつけ医
# 内科
# 気管支喘息
i
ハイライト(要約)

「最近は発作が出ていないから、吸入薬はもうやめてもいいかな」と思ったことはありませんか。大人の気管支喘息は、症状がないときも気道の中で炎症がくすぶっていることが多い病気です。発作を防ぐ鍵は、毎日の吸入薬を正しい方法で続けること。この記事では、吸入薬の役割、続けるコツ、喘息がうまくコントロールできているかのチェック方法、そしてすぐに受診してほしいサインを、慶元クリニックが解説します。

目次

喘息は「発作のときだけの病気」ではありません

気管支喘息は、空気の通り道である気管支に慢性的な炎症が続き、気道が敏感になっている状態です。敏感になった気道は、風邪やタバコの煙、ほこり、冷たい空気などのちょっとした刺激で狭くなり、咳や「ゼーゼー、ヒューヒュー」という音、息苦しさが起こります。これがいわゆる発作です。

大切なのは、発作が出ていないときでも、気道の炎症は静かに続いていることが多いという点です。

炎症を放っておくと

炎症を抑え続けると

つまり喘息の治療の目標は、「発作が起きたら抑える」ことではなく、「発作が起きない状態を保つ」ことにあります。

発作を防ぐ吸入薬と、発作を抑える吸入薬の違い

喘息の吸入薬には、大きく分けて2つの役割があります。ご自分の薬がどちらなのかを知っておくことが、上手な付き合い方の第一歩です。

長期管理薬(コントローラー):毎日使う薬

発作治療薬(リリーバー):苦しいときに使う薬

ここで注意したいのは、発作治療薬は「広げる」だけで、炎症そのものは治していないということです。発作治療薬を使う回数が増えているときは、炎症のコントロールが不十分になっているサインです。「よく効くから」と頼り切りにならず、早めにご相談ください。

なお、配合薬の種類によっては、毎日の吸入に加えて、苦しいときの追加吸入にも同じ薬を使う方法がとられることがあります。使い方は薬によって異なりますので、医師から説明された方法を守ってください。

吸入薬を正しく、無理なく続けるコツ

吸入薬は、正しく吸えてはじめて効果を発揮します。「毎日使っているのに効かない」という方の中には、吸い方がうまくいっていない方が少なくありません。

吸入薬の器具には、粉の薬を自分の吸う力で吸い込む「ドライパウダー製剤」と、霧状の薬を噴射する「スプレー製剤」があります。吸う力が弱い方や、タイミングを合わせるのが苦手な方など、人によって向き不向きがあります。使いにくさを感じている場合は、遠慮なくお伝えください。

吸入のときに気をつけたいこと

毎日続けるための工夫

自己判断でやめないことが大切

症状が落ち着くと、つい吸入をやめたくなります。しかし、それは薬が炎症を抑えてくれている結果です。自己判断で中止すると、数週間から数か月かけて炎症がぶり返し、季節の変わり目や風邪をきっかけに大きな発作につながることがあります。良い状態がしばらく続いた場合は、医師と相談しながら薬の量を段階的に減らしていくことができます。

うまくコントロールできているかのセルフチェック

喘息がうまくコントロールできているかは、次の項目で振り返ることができます。ここ1か月ほどを思い出してみてください。

ひとつでも当てはまる場合は、治療を見直す余地があるかもしれません。「このくらいは仕方ない」と我慢されている方も多いのですが、適切な治療で症状のない状態を目指せることが少なくありません。

記録をつけると、診察がスムーズに

受診のときに「この1か月どうでしたか」と聞かれても、細かく思い出すのは難しいものです。次のようなことを、手帳やスマートフォンのメモに簡単に書き留めておくと役立ちます。

ご自宅で息を吐く勢いを測る器具(ピークフローメーター)を使って記録している方は、その記録もぜひお持ちください。数字の変化は、症状が出る前の悪化のサインに気づく手がかりになります。

次のような場合は、すぐに医療機関へ

これらは強い発作のサインです。夜間や休日であっても、ためらわず救急外来の受診や救急要請をしてください。

秋から冬に気をつけたいことと、当院での長期管理

秋は、喘息の症状が悪化しやすい季節です。気温差、台風などによる気圧の変化、ダニの死がいやフンの増加、そして風邪やインフルエンザの流行が重なるためです。

この時期に心がけたいこと

当院での長期管理

慶元クリニックでは、喘息の継続的な治療を行っています。定期的な診察では、次のようなことを確認します。

また、喘息に似た症状は心臓の病気など別の原因で起こることもあるため、必要に応じて心電図検査や血液検査で確認します。より詳しい呼吸機能の評価や、注射薬(生物学的製剤)などの専門的な治療が必要と判断した場合は、専門の医療機関をご紹介します。

最後に

大人の気管支喘息は、発作がないときも気道の炎症が続いていることが多く、毎日の吸入薬でその炎症を抑え続けることが発作を防ぐいちばんの近道です。発作治療薬を使う回数が増えてきたら、治療を見直すサインと考えてください。吸入薬は正しい吸い方ができてはじめて効果が出るため、自己判断で中止せず、医師と相談しながら量を調整していくことが大切です。症状が出やすい秋から冬に向けて、吸入方法の確認や治療の見直しをしたい方は、どうぞお気軽に当院へご相談ください。平日にお時間の取れない方は、日曜の午前診療やWEB・LINE予約もご利用いただけます。

参考文献

・日本アレルギー学会 喘息ガイドライン専門部会 監修「喘息予防・管理ガイドライン2024」協和企画
・Global Initiative for Asthma(GINA)「Global Strategy for Asthma Management and Prevention」
・独立行政法人 環境再生保全機構 ぜん息などの情報館(https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/)
・慶元クリニック 診療案内(https://keimotoclinic.com/information/)

他のコラムはこちらから >



コラム・ブログ一覧へ

トップページへ