2026年9月22日

仕事中に指を切った、通勤の途中で転んだ、車に追突された。こうしたケガのとき、健康保険証を出して受診すると、あとで手続きをやり直すことになる場合があります。仕事中・通勤中のケガは労災保険、交通事故は自賠責保険が使われるためです。窓口での伝え方ひとつで手続きは大きく変わります。慶元クリニックが、受診の流れと注意点を整理して解説します。

まず知っておいていただきたいのは、ケガの原因によって、使う保険の制度が異なるということです。
このうち労災保険は、仕事が原因で起きたケガや病気を補償するための制度です。健康保険は「業務外の事由」による治療を対象としているため、仕事中のケガに健康保険を使うことは原則としてできません。
労災保険が使える場面には、次のようなものがあります。
労災保険を使う大きなメリットは、治療費の自己負担が原則としてないことです。健康保険では3割の自己負担が生じますが、労災では窓口負担が発生しません。休業が必要になった場合の補償制度もあります。
一方で、「職場に迷惑をかけたくない」「手続きが面倒だから」という理由で健康保険証を出して受診される方がいます。しかし、後から仕事中のケガだったと判明すると、いったん支払われた健康保険の分を返還し、労災として請求し直すという煩雑な手続きが必要になります。結果として、ご本人の負担がかえって大きくなってしまいます。
正社員だけでなく、パート、アルバイト、日雇いの方も労災保険の対象です。雇われて働いている方であれば、勤務形態にかかわらず対象になります。

ケガをしたら、できるだけ早く上司や労務担当の方に報告してください。労災の手続きは、勤務先が状況を証明する書類を作成することで進みます。報告が遅れると、事実確認に時間がかかることがあります。
受診の際、最初にこの一言を伝えていただくことが最も大切です。この情報がないと、健康保険での受付処理が進んでしまいます。
勤務先を通じて、労災の請求書(様式)を用意していただきます。当院のように労災保険指定医療機関で受診する場合は、この書類を提出することで窓口負担なく治療を受けられます。
受診時にまだ書類が用意できていないことも珍しくありません。その場合も、「労災です」と伝えていただければ、書類が整うまでの取り扱いをご案内します。書類が後日になるからといって、受診を遅らせないでください。
通勤災害として扱われますが、認められるためには「合理的な経路と方法」での通勤であることが条件です。買い物などで大きく寄り道をした場合は対象外となることもあります。判断に迷う場合も、まずは状況をありのままに勤務先と医療機関にお伝えください。

交通事故の場合、相手がいる事故であれば、相手方の自賠責保険が治療費を負担するのが一般的です。ここでも、いくつか注意点があります。
これがすべての出発点です。警察に届け出をしていないと、交通事故証明書が発行されず、保険の手続きが進みません。「相手が示談で済ませたいと言っている」「大した事故ではないから」という理由で届け出をしないと、後で治療費の請求ができなくなることがあります。
ケガがあるにもかかわらず物損事故として届け出てしまうと、治療費の補償を受ける手続きが複雑になることがあります。体に痛みがある場合は、その旨を警察に伝えてください。
事故の直後は興奮状態にあり、痛みを感じにくいことがあります。数日たってから痛みが出てくることも多いのですが、事故から受診までの期間が空くと、「その症状は事故によるものか」という点で判断が難しくなる場合があります。当日、遅くとも数日以内の受診をおすすめします。
受診する医療機関名を、相手方の保険会社に伝えてください。多くの場合、保険会社から医療機関へ連絡が入り、治療費の支払い手続きが行われます。
労災と同様、最初にお伝えいただくことで、適切な取り扱いができます。

仕事中のケガも交通事故も、共通して起こりやすいのが「その場では平気だった」という状況です。
こうした場合、時間が経ってからの受診では、原因との関係を証明しにくくなることがあります。とくに交通事故では、事故から受診までの間隔が問題になりやすいという現実があります。
医学的にも、初期対応の遅れは回復に影響します。切り傷は時間がたつほど感染のリスクが上がり、縫合できる時間にも限りがあります。やけども、深さの判断と初期の処置が経過を左右します。
「大したことはない」と思っても、次のような場合は早めに受診してください。
慶元クリニックは、労災・交通事故の治療に対応しています。院長は外科と救急医療の経験を持ち、切り傷やけど打撲といった外傷の処置を日常的に行っています。地域のかかりつけ医として、傷の治療だけでなく、その後の経過の確認までを一貫して診られることが強みです。
これらの情報は、治療の判断だけでなく、手続きを滞りなく進めるためにも必要です。
より専門的な設備や機器による治療が必要と判断した場合には、近隣の連携病院へご紹介します。骨折や、専門的な手術が必要な状態については、速やかに適切な医療機関へおつなぎします。
外傷の治療は、初回の処置よりも、その後の経過観察が結果を左右します。当院は日曜の午前も診療しており、平日に時間の取れない方でも通院を続けやすい体制を整えています。仕事を休みにくい方こそ、通いやすさを重視して医療機関を選んでいただければと思います。
仕事中や通勤中のケガは労災保険、交通事故によるケガは自賠責保険が使われるため、健康保険証を出して受診すると後から手続きをやり直すことになります。受付で最初に「仕事中のケガです」「交通事故です」とお伝えいただくことが、いちばん確実です。労災はパートやアルバイトの方も対象で、窓口負担が原則ありません。交通事故では、警察への届け出と、できるだけ早い受診が大切です。その場では平気でも、翌日以降に痛みや腫れが出てくることは珍しくなく、時間が空くほど原因との関係を示しにくくなります。当院は労災・交通事故の治療に対応し、日曜の午前も診療しています。ケガをされたときは、手続きのことも含めてお気軽にご相談ください。
・厚生労働省「労災保険給付の概要」および労働者災害補償保険制度の解説
・国土交通省 自動車損害賠償保障制度に関する案内
・日本外傷学会/日本形成外科学会 創傷処置に関する診療情報
・慶元クリニック 診療案内(https://keimotoclinic.com/information/)