2026年10月25日

「熱が出てすぐに検査したら陰性だったのに、翌日もう一度調べたら陽性だった」。こんな経験はありませんか。新型コロナやインフルエンザの抗原検査は、短時間で結果が出る便利な検査ですが、受けるタイミングによって正確さが変わります。発症からどのくらいで受けるのがよいのか、陰性でも油断できないのはなぜか、自宅での検査キットの使い方まで、慶元クリニックが検査に焦点を当ててわかりやすく解説します。

抗原検査は、鼻の奥やのどからとった検体の中に、ウイルスに特有のたんぱく質(抗原)があるかどうかを調べる検査です。
よく比較されるPCR検査は、ウイルスの遺伝子をくり返し増やして調べるため、ごく少量のウイルスでも見つけやすい検査です。抗原検査はPCR検査に比べると、ウイルスがある程度の量に増えていないと反応しにくいという性質があります。
この「ウイルスの量」が、検査のタイミングを考えるうえでとても大切なポイントになります。
医療機関での抗原検査では、細い綿棒を鼻の奥まで入れて、粘膜をこするように検体をとるのが一般的です。少しツンとした刺激がありますが、検査自体は数秒で終わります。検体がしっかりとれているかどうかも、結果の正確さを左右します。くしゃみが出そうになったり、思わず顔を引いてしまったりするのは自然なことですので、苦手な方は遠慮なくお伝えください。できるだけ負担の少ないように配慮しながら行います。

ウイルスは、感染してすぐに大量に増えるわけではありません。体の中で少しずつ増え、症状が出るころから数日の間に、鼻やのどのウイルス量が多くなっていきます。
つまり、インフルエンザの抗原検査は「早すぎず、遅すぎず」、発症から半日ほどたったころから翌日、翌々日あたりまでが受けやすい時期といえます。
「家族が陽性になったので、自分もすぐに調べたい」という気持ちはよくわかります。ただ、接触した直後に症状がないまま検査しても、まだウイルスが増えておらず、陰性と出ることが少なくありません。接触後は体調の変化に注意して過ごし、のどの痛みや発熱などの症状が出てから検査を受けるほうが、結果の信頼性は高まります。
どちらも、急な発熱、のどの痛み、せき、だるさ、関節や筋肉の痛みなどが出ることがあり、症状だけで区別するのは難しい病気です。同じ時期に両方が流行することもあります。そのため、症状や周囲の流行状況に応じて、両方を調べる検査を行うこともあります。どちらにかかっているかがわかると、使える薬や、家族への感染対策、仕事や学校を休む期間の目安などを考えやすくなります。

抗原検査の「陰性」は、「感染していない」という証明ではありません。あくまで「検査をした時点で、検出できる量のウイルスが見つからなかった」という意味です。
研究によると、症状がある人に抗原検査を行った場合でも、感染者の一部は陰性と出てしまうことが報告されています。症状のない人では、その割合がさらに高くなります。
発症当日に陰性だった方が、翌日に改めて検査をすると陽性になる、ということは珍しくありません。これは検査が間違っていたのではなく、ウイルスが増えて検出できる量になったためです。「一度陰性だったから大丈夫」と思い込まず、症状の経過を見ながら判断することが大切です。
インフルエンザの場合は、検査が陰性でも、周囲の流行状況や症状、家族の感染などから、医師が総合的に判断して治療を行うことがあります。検査はあくまで診断の材料のひとつで、結果だけですべてが決まるわけではありません。

最近は、薬局などで新型コロナの抗原検査キットや、コロナとインフルエンザを同時に調べられるキットを購入できるようになりました。自宅で使う場合は、次の点に注意しましょう。

慶元クリニックでは、新型コロナ・インフルエンザの抗原検査に対応しています。
検査の結果だけでなく、症状の経過や診察所見をあわせて判断し、必要に応じて抗ウイルス薬や、症状をやわらげる薬を処方します。日曜日の午前中も診療していますので、週末に体調を崩したときもご相談ください。
新型コロナやインフルエンザの抗原検査は、短時間で結果がわかる便利な検査ですが、体の中のウイルスの量が少ない発症直後は、感染していても陰性と出ることがあります。症状が出てから半日ほどたったころが受けやすいタイミングで、インフルエンザの薬を使うなら発症から48時間以内が目安です。陰性の結果は「感染していない証明」ではないため、症状があるうちは体を休め、周りへの感染に気を配りましょう。息苦しさや水分がとれないといった症状があるときは、時間を待たずに受診してください。発熱やのどの痛みなど気になる症状があるときは、どうぞお気軽に当院へご相談ください。
・厚生労働省「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針」
・厚生労働省「インフルエンザQ&A」
・日本感染症学会「日本感染症学会提言 抗インフルエンザ薬の使用について」
・Chartrand C, et al. Accuracy of rapid influenza diagnostic tests: a meta-analysis. Ann Intern Med. 2012;156(7):500-511.
・Dinnes J, et al. Rapid, point-of-care antigen tests for diagnosis of SARS-CoV-2 infection. Cochrane Database Syst Rev. 2022;7:CD013705.
・慶元クリニック 診療案内(https://keimotoclinic.com/information/)