2026年9月16日

夜になると急に体に赤い盛り上がりが出て、強くかゆい。ところが朝には跡形もなく消えている。写真を撮っておかないと説明もできない。これがじんましんの典型的な現れ方です。原因が特定できるものは実は多くなく、多くは「はっきりしないまま自然に治る」タイプです。ただし、呼吸が苦しい、まぶたや唇が腫れるといったサインは緊急性があります。正体と対処法、受診の目安を慶元クリニックが解説します。

じんましんは、皮膚が突然赤く盛り上がり、強いかゆみを伴う状態です。医学的には膨疹と呼びます。次のような特徴があります。
これが最大の特徴です。ひとつひとつの発疹は、長くても24時間以内に跡を残さず消えていきます。ただし、消えた場所とは別の場所に新しく出るため、全体としては何日も症状が続いているように感じられます。
蚊に刺されたような小さなものから、地図のように広がって隣どうしがくっつくものまでさまざまです。輪郭が盛り上がり、中央が白っぽく見えることもあります。
消えた後に、色素沈着やかさつきを残さないのが原則です。
チクチクする、焼けるような感じと表現される方もいます。夜間や入浴後に強まる傾向があります。
湿疹との違いは、経過にあります。湿疹は同じ場所に数日から数週間とどまり、皮膚がガサガサしたり、皮がむけたり、色素沈着を残したりします。一方じんましんは、出ては消えるを繰り返し、皮膚の表面そのものは変化しません。
「昨日出た場所が今日はきれいになっている」なら、じんましんの可能性が高いと考えます。

皮膚の中には、マスト細胞という細胞があります。この細胞が何らかの刺激を受けると、ヒスタミンという物質を放出します。ヒスタミンは血管をゆるめて水分をしみ出させ、皮膚を局所的にむくませます。これが膨疹の正体です。同時に、かゆみの神経も刺激されます。
引き金となるものには次のようなものがあります。
ここで知っておいていただきたいのは、原因を特定できるじんましんはむしろ少数だということです。原因がはっきりしない特発性のものが大部分を占めるといわれています。
「何か悪いものを食べたに違いない」と考えて食事を極端に制限される方がいますが、思い当たる食品が毎回一致しないのであれば、食物が原因である可能性は高くありません。むしろ、疲労やストレス、かぜなどの感染症をきっかけに、皮膚が過敏になっている状態のことがよくあります。
なお、複数の要因が重なって初めて症状が出ることもあります。たとえば、特定の食品を食べた後に運動をしたときだけ症状が出るというケースです。「いつも大丈夫なのに、あのときだけ出た」という場合には、直前の行動もあわせて振り返ってみてください。

じんましんは、症状が続く期間によって分けられます。
かぜなどの感染症、食べ物、薬をきっかけに起こることが多く、数日から数週間で自然に治まります。多くの方がこのタイプです。
毎日または週の大半で症状が出る状態が、6週間を超えて続くものです。原因が特定できないことが多く、体質的に皮膚が反応しやすくなっていると考えられます。
慢性の場合、「原因がわからないから治らないのでは」と不安になる方が多いのですが、そうではありません。適切な薬で症状を抑えながら経過をみると、数か月から数年のうちに自然に軽快していく方が多くいらっしゃいます。大切なのは、症状が出るたびに薬を飲んだりやめたりするのではなく、一定期間しっかり抑え込むことです。
日常生活で悪化しやすい条件も知っておくと役立ちます。

じんましんの多くは命に関わるものではありませんが、次のような症状を伴う場合は、アナフィラキシーという全身のアレルギー反応の可能性があり、緊急の対応が必要です。
これらがある場合は、その場で救急要請を含めた対応が必要です。とくに、食べ物や薬を口にした直後に症状が出た場合は注意してください。
また、次のような場合も早めの受診をおすすめします。
とくに、発疹が長時間消えない、跡が残るという場合は、じんましん以外の病気の可能性を考える必要があります。

慶元クリニックでは、まず症状の経過を詳しく伺うことから始めます。
スマートフォンで発疹の写真を撮っておいていただけると、診察時にとても役立ちます。受診したときには消えていることが多いためです。かゆみで困ったときは、まず1枚撮っておいてください。
じんましんの治療の基本は、ヒスタミンの働きを抑える内服薬です。眠気の出にくいタイプが主流になっています。
大切なのは、症状が出たときだけ飲むのではなく、決められた期間、毎日続けて飲むことです。症状が消えたからといってすぐにやめると、再燃を繰り返して長引くことがあります。落ち着いた状態をしばらく維持してから、様子をみながら減らしていくのが基本的な進め方です。
効果が不十分な場合は、薬の量や種類を調整します。症状が強い場合には、短期間だけ他の薬を併用することもあります。
原因が明らかに疑われる場合や、他の病気が隠れていないかを確認する必要がある場合には、血液検査を行います。院内で血液検査に対応しており、炎症の有無やアレルギーの傾向、甲状腺の機能などをあわせて確認できます。ただし、慢性じんましんでは検査で原因が特定できないことが多く、闇雲に検査を重ねるより、症状をしっかり抑えて経過をみるほうが有益なことが少なくありません。
薬局で購入できるかゆみ止めの内服薬にも、抗ヒスタミン成分が含まれているものがあります。一時的に使うぶんには問題ありませんが、眠気の強い成分が入っていることがあり、車の運転や仕事に支障が出ることがあります。また、数日使っても症状が治まらない場合は、薬を替えながら市販薬で粘るより、一度診察を受けたほうが結果的に早く落ち着きます。塗り薬については、じんましんは皮膚の深い部分のむくみであるため、外用薬だけで十分に抑えるのは難しく、内服が中心になります。
なお、皮膚の症状が長期にわたる場合や、専門的な治療が必要と判断した場合には、適切な医療機関へご紹介します。当院は内科・外科・肛門科を一貫して診る地域のかかりつけ医として、皮膚の症状の背景に全身的な要因がないかという視点も含めて診察にあたっています。
じんましんは、皮膚が突然赤く盛り上がって強くかゆみ、24時間以内に跡を残さず消えるのが特徴です。原因を特定できるものは少なく、多くは疲労や感染症をきっかけに皮膚が過敏になって起こります。治療の中心は抗ヒスタミン薬で、症状が出たときだけ飲むのではなく、一定期間しっかり続けることが早く落ち着かせるコツです。息苦しさ、まぶたや唇の腫れ、強い腹痛を伴う場合は緊急性がありますので、ただちに対応が必要です。発疹が24時間以上残る、跡が残る、6週間以上続くという場合も一度ご相談ください。当院では血液検査を院内で行い、経過に応じた薬の調整をご提案しています。かゆみで眠れない夜が続いているなら、我慢せずお越しください。
・日本皮膚科学会「蕁麻疹診療ガイドライン」
・厚生労働省 重篤副作用疾患別対応マニュアル(アナフィラキシー)
・日本アレルギー学会 アナフィラキシーガイドライン
・慶元クリニック 診療案内(https://keimotoclinic.com/information/)